2017年度関西中学入試概況【復習】
【2017年度関西中学入試概況】
1.京都の特殊性が際立つ結果
年々率が上昇しているとはいえ、近畿全体の中学受験率が9.3%にとどまり10%に届かない中で、京都は11%を超える高い受験率。京都で育つ子ども達の学ぶ環境は、他府県とは異質であることをまず認識しましょう。中学受験だけでなく、小学校受験も盛んであることはご存知の通りです。そして高校入試においても良き受け皿がしっかりと準備され、大学も数多ある。子ども達の将来を描くための選択肢が豊富にあるからこそ、我々大人は多くの情報を持つ必要があるのです。
2017年度関西中学入試を一言で表すと『附属校人気の継続』です。特に関関同立の附属校の人気が継続して高くなっています。難化した学校、易化した学校を中心に“理由”をまとめていきます。
※難化・易化は2016年度データとの競争倍率にて判断
2.県別分析
《大阪府》
【易化】
【難化】
樟蔭・大阪桐蔭・開明・四條畷学園・清風南海・高槻・帝塚山学院泉ヶ丘・履正社学園豊中・大阪産業大学附属・関西大学・関西大学第一・関西大学北陽・近畿大学附属・同志社香里
良くも悪くも大きなニュースやブームに影響を受ける大阪府。今年は高槻中学校を中心に動いた印象を受けます。人気男子進学校であった高槻が今年から共学化し、女子だけではなく男子の人気も高まりました。それに伴い、大阪星光・清風・明星・四天王寺という難関男子校・女子校は倍率を下げました。加えて、附属校ではない共学校にも影響が出ていることは注目すべき点です。
開明の躍進は中学3年間の給食も理由の一つでしょう。毎日お弁当に頭を悩ませなくてよいというところが、お母様方の人気を獲得しました。昨年から継続して人気が高まっており、最難関校の併願校としての位置を確立しました。
履正社学園豊中には、灘・洛南・東大寺・星光などの難関高校を目指す3ヶ年独立コースがあります。「高校入試でリベンジ!」と考える生徒が入学し、別カリキュラムで学習を進めていきます。後期の競争率上昇には理由があるということです。
《兵庫県》
【易化】
【難化】
灘・甲陽学院・神戸女学院などの伝統難関校に関しては、年度による変動が少ないことが兵庫県の特徴。六甲学院のB日程が難化しているのは、1/17という日程設定から他県の優秀生が受験に挑んだということが理由であると考えられます。
須磨学園・雲雀丘学園については、単純に受験生が増加しました。大阪の高槻中学校の影響はこのようなところにも出ています。また、雲雀丘学園はネット出願を始めたことで、遠方からの出願が増えました。
《京都府》
【易化】
同志社女子
【難化】
附属校の人気が継続して上昇。その中で同志社女子のみが競争率を下げていますが、昨年の人気が高すぎたためです。倍率は1.3倍周辺に落ち着く傾向がありますので、今年も決して簡単ではありませんでした。
洛星は競争率が高まり難化の群に入っていますが、隔年現象によるものです。一昨年の倍率に戻ったという認識が正しいです。順番的には来年は易化するでしょうが、洛南とともに京都最難関中学校ですので、合格ラインの変化はないでしょう。
京都学園は今年からGN探求とGN一貫コースがスタートし、生徒募集の目玉となりました。志願者は定員を超えましたが、合格の基準を高く設定。結果、倍率が大きく動いたということです。高校入試での人気の高まりが、中学入試にも影響してきました。
京都橘の人気の高まりは、昨年の合格実績の飛躍的な向上が理由です。部活も充実、内部の補習体制もしっかりとしています。立地的に京都市内から離れているので、他県からの志願者も増加。
《奈良県》
【難化】
東大寺学園は例年とほぼ同様の競争率(3年連続で2.4倍周辺)ですが、志願者数が大幅に増加しています。最難関校の合格の出し方として、人数よりもレベルを重視します。合格者数が前年よりも多いのは、東大寺が求めるレベルに達していた受験生が多かったことを示しているとお考えください。
奈良県で注目すべきは帝塚山(男子)・奈良学園(C日程)です。
帝塚山は初日の志願者数増加により、男子の競争率が大きく上がりました。理科部ロボット班の全国的な活躍により、まさに理系男子・女子が志望する学校。コースもレベル別に分けられており、東大理Ⅲ合格者を輩出したことで指導レベルの高さも伺えます。
奈良学園のC日程に関しては、受験者は増加したにも関わらず合格者は減少しています。早い日程での手続き率が高かったことを表しており、第一志望校として考えている受験生が増えていることが分かります。
《和歌山県》
【易化】
開智
【難化】
開智の競争率が市販されている書籍の数値と異なるのは、スライド合格を含んでいるからです。スーパー理系特進は合格者も厳選されるので、高い倍率となります。
智辯学園和歌山の後期日程受験者が大幅増加です。和歌山県での進学実績が群を抜いて高いことから、地元の人気と共に他県最難関校の併願校として選択肢に挙がる学校です。後期日程受験者の増加から、他県の成績優秀生が受験に挑んだことが分かります。
《滋賀県》
【易化】
【難化】
立命館守山の易化は学校スキャンダルによるものと結論付けられることが多いでしょうが、実はそうではありません。志願者数はそこまで大きく変化はしておらず、1/14午前の志願者から多めに合格者を出したことが分かります。前年スキャンダルがあった学校は、「初日に受験してくる受験者」を多く確保する傾向があります。合格最低点を下げてでも確実に手続きをしてくれる生徒に合格を出したということです。
比叡山の難化は、定員数の変更(120→80)によるものです。現段階ではお伝えすることができませんが、前向きな定員減らしであるとご認識下さい。定員が減少したので、当然競争率は上がりますので、難化の群に入ったということです。
皆様、一年前のことを思い出せたでしょうか?
状況は一年一年変化しますが、前年とデータを比較することを怠るべきではありません。
少なくとも4年間分のデータを横に並べて比較することで、次年度の難易度を高確率で的中させることができます。
さて、2018年度関西中学入試はどうなるでしょうか?
イデアスポットでは、今年も詳細データの分析会(保護者勉強会)を実施致します。
イデアスポット京都校
代表:竹山隼矢