入試問題から見える学校の指導レベル(2018年度関西中学入試)
一見似ているように見えたとしても、最難関校の問題とそれ以外の問題では大きなレベル差があります。
それが指導者のレベル差でもありますから、"どこに魅力的な大人(指導者)"がいるのかを、子ども達の中高6年間のためにあらゆる視点から探る努力を怠ってはいけないのです。
《甲陽学院中学校》
Q,1日目大問3
太郎,次郎,三郎は,直線道路で結ばれたA市とB市の間をそれぞれ一定の速さで往復します.
太郎と三郎はA市を,次郎はB市を同じ時刻に出発し,出発してから15分後に太郎と次郎ははじめて出会いました.そして,次郎がA市に着いたとき,太郎と三郎ははじめて出会いました.さらに,太郎と次郎が折り返したあと出会ったのは,はじめて出会った地点から600mだけA市に近い地点でした.
(1)太郎と次郎が折り返したあと出会ったのは,はじめて出会ってから何分後ですか.
A,30分後
15×2=30(分)
(2)太郎と次郎の速さの差は,毎分何mですか.
A,毎分20m
太郎が30分かけて移動した距離=次郎が30分かけて移動した距離+600m
これより、30分で600mの差が生まれたことが分かる。
600÷30=20(m)
(3)三郎の速さが毎分45mです.A市とB市は何m離れていますか.
A,2250m
(2)より、以下のように設定する
太郎:①+20(m) 次郎:①
次郎がA市に着いたときと、太郎と三郎がはじめて出会ったときが同時なので、
①:①+20+45=1:2 となる。
①=65 と分かるので、65×30+300=2250(m)
※A市からB市は (①+①+20)×15 でもとまります。
(1)→(2)→(3)と連動しており、前の小問を使って次の小問を解く構成となっています。
さらに、それぞれの小問にも必ずハードルが仕込まれており、閃きというよりも、『きっちりと努力してきた子かどうか』を見極めることができる問題となっています。
ゴリ押しだけでは(3)を解き切れないようにもなっています。
(方程式みたいに解いても答えは出せるかもしれませんが、算数ではなく数学の学習に時間を割いてしまった受験生では合格点には届かないでしょう。)
そして、お気づきでしょうか?
問題文には「、」や「。」ではなく、「,」や「.」が使われているのです。論文を書く際の決め事のようなもので、それが自然に出るぐらい極めてアカデミックな方が問題作成をされており、入学者の数学を担当されるということです。
視点を変えれば、問題から学校の指導レベルが透けて見えるものです。
入学後の数学授業も楽しみになりますね!
イデアスポット京都校
代表 竹山隼矢