2021年度 関西中学入試⑥(高槻中 国語)

2021年度の高槻中学校A日程入試では、3問構成(第1問論説文、第2問物語文、第3問漢字)となりました。

文章問題の出典は山極寿一「スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ『未知の時代』」(ポプラ新書)三浦哲郎「春は夜汽車の窓から」(講談社)です。

論説文で出題された山極寿一の「スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ『未知の時代』」は2020年6月に出版されたもので、かなり新しい文章からの出題となりました(山極寿一の著書は2018年度のB日程でも出題されております)。

対して、物語文で出題された三浦哲郎の「春は夜汽車の窓から」は10年以上前の作品で、雲雀丘学園(2020)、大阪信愛学院中学校(2018)、山手学院中学校(2016)等で出題されたことのある文章でした。

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全体の難易度はおおむね例年並み(わずかに易化)という印象です。高槻中学校の問題は全体的に選択問題が多い(詳しくは後述します)という特徴がありますが、設問自体はストレートな良問が多く、またそれゆえに平均点も低くはないことが多く、素早く精確に本文内容を把握し、落ち着いて設問に向き合う練習が必要となります。

 

《注目の1問》

今回の問題で受験生を悩ませた問題があるとすれば、第2問の問10(最終問題)でしょう。本文内容を踏まえて授業内でディスカッションをしている生徒の意見の中から正しいものの組み合わせを選ぶという内容合致の問題なのですが、出題の形式が珍しく、その形式に身構えてしまった受験生が少なからずいたのではないかという印象を受けました。

こうした変則的な形式の問題は、近年の高槻中学校の出題でよく見かけます。特に昨年度のB日程入試では題材となった物語文と内容的に関連のある詩を引用し、その関連性を問うという形式の問題が出題されています。

大学入試改革に伴うセンター試験から共通テストへの以降を意識したものではないかと思われ(共通テストが始まるにあたって提示された試行問題では複数テキストを比較する問題や生徒同士がディスカッションを行う形式の問題が出題されていました)、今年度実施された共通テストでもこうした出題が見られたため、今後も共通テストを見据えたような形式の問題が出題される可能性はあり得ます。十分な基礎力をつけるのは前提として、見慣れない形式の問題に出会ってもうろたえず、きちんと問題の意図を読み取る練習が必要といえるでしょう。

 

《選択問題への対策》

高槻中学校の問題の特徴のひとつに、問題に占める選択問題の割合の多さが挙げられます。次のグラフからも分かるように、高槻中学校では伝統的に選択問題が多く出題されています。

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選択肢の内容が長い問題も見られ、また近年の人気の高さを考えれば、この選択問題でいかに正解を積み上げるかが、合否を分ける一つのポイントといっても過言ではないでしょう

 

選択問題の誤答には大きく分けて3パターンあります。

①本文と異なる内容が書かれている選択肢

②本文内容に間違えはないが情報が足りない選択肢

③本文内容に余計な情報や解釈が加わっている選択肢

 

このうち、消去法が効果的なのは①のパターンで作られた選択肢で、②や③に関しては別のアプローチをする練習が必要となります。設問における選択肢の比重を考えると、漠然と選択問題に向き合うのではなく、こうした分類を意識した訓練が重要といえるでしょう。高槻中学校に限らず、志望校が選択問題が中心に出題されると分かっている場合には、早いうちからの対策が重要です。

 

イデアスポット(idea spot)

国語科主任 仙仁透

idea-spot.co.jp