読書習慣を身に付けるには?

読書習慣を身に付けるには「きっかけ作り」が大切です。

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「息を止めて見つめる先には長いまつげが揺れてる」
これはシンガーソングライターであるaikoさんの代表作「カブトムシ」の一節です。
みなさんはこの歌詞を読んで、主人公がどれくらいの距離から相手を見ていると思いますか?
この歌の中に見つめている距離に関して具体的に示されている部分はありません。
しかし、「息を止めなければならない」ことや「まつげが揺れてる」のがはっきりと分かる距離ということを考えれば、極めて近い位置から見ていると推察することできます。
仮に何メートルも離れたところからまつげの揺れがはっきり見えたのだとすると、「主人公の視力はいくつなんだ」という話になってしまいます(笑)

 

読解力について語るとき、私はしばしばこの例を挙げます。
読んだ文章から情景を正確に思い描く能力(論理的な文章であれば読んだ文章から正確に筆者の主張を理解する能力)が国語の勉強において非常に大切であるというのが持論です。

 

現代の子どもたちを取り巻く環境を見てみると、スマートフォン、テレビ、パソコンと、とにかく動画や画像によるコミュニケーションが溢れていて、よほど意識しなければ文章から情報を頭に浮かべる能力は身につきません。
昔と比べて、意識的に文章から正確に情報を拾い上げる能力を訓練する必要があります。


こうした力を身につけようとしたときに最も有効なものが読書なのですが、いざ子どもたちに本を読ませようと思っても、なかなか本に興味を持ってもらえないというのが現状ではないでしょうか。

子どもたちが本好きになるには、

興味を持った瞬間に本を手に取れる環境作り

本に興味を持つきっかけ作り

以上の2つが大切です。


何かのきっかけで「本を読んでみようかな」と思ったときに目の前に本があれば興味を持ってくれるかもしれませんし、「そんな本があるんだ」という発見があれば、本を読みたいと思ってくれるかもしれません。
周囲の大人が子どもたちにしてあげられることは、こういった本との「偶然の出会い」の機会を増やしてあげることだと思うのです。

私はよく「国語のテキストは最高の本のカタログである」ということを子どもたちに言っています。
一つの作品を1時間近くかけて丁寧に読み込んでいると(ましてそこに「解けた!」という達成感が備わっていれば)、自ずとその文章に対する興味が高まるからです。
その意味で、国語の授業は本との「偶然の出会い」を子どもたちに与えてあげるのにはぴったりです。
実際に授業の中で扱った作品に関して、できるだけその作品が収録されている本や、関連する小説や作者の紹介をするようにしているのですが、そうすると普段本を読まない子どもたちでも興味を持ってくれます。

 

先日の国語の授業で、重松清さんの「さかあがりの神様」という作品と「サマーキャンプへようこそ」という作品を扱い、せっかくの機会だったのでそれらの作品が収録された『日曜日の夕刊』という文庫本を持っていって子どもたちに紹介したのですが、その日の授業の休み時間は子どもたちとその物語の話で盛り上がりました。
その瞬間、子どもたちは確かに本に興味を持ってくれていました。
翌週、一人の生徒さんが「他にも何か本はない?」と質問してくれました。
もちろん紹介したい本はいくつもあるのですが、通常授業で全く関係ない本の話ばかりするわけにはいきません。
とはいえ、せっかく子どもたちが本に興味を持ってくれる可能性があるのなら、それを活かさないのはもったいない。
ということで、イデアスポットのブログで本を紹介する場所を用意することにしました。


国語のテキストに出てくる作品に関連した本や、入試でよく出題される作者の作品をはじめ、何かしら子どもたちに接点のある本を定期的に紹介しようと思っています。
気になる作品があったらぜひ、子どもたちに読ませてあげていただけたらと思います。

 

イデアスポット京都校

https://idea-spot.net/

国語科主任 仙仁透